妊活支援士はるみです。
私たちの身体の中で、見えない働きをしているホルモン。
実はホルモンの分泌は、多くても少なくても、私たちの身体に悪影響を及ぼします。
「ちょうど」の量で分泌されていることが重要なのです。
成長ホルモン、女性ホルモン、男性ホルモン…
いくつか名前は聞いたことがあると思いますが、どれくらい知っていますか?
ホルモンの種類
身体を健康な状態に保つため、さまざまな機能の調節をするのがホルモンの役割ですが、その数は現在確認されているだけで100種類以上あり、まだまだ発見され続けています。
様々な臓器や細胞で作られ、血液にのって必要な場所に届けられ、単純にそのものが働きかけるものもあれば、「〇〇ホルモンを分泌する指令を出すホルモン」のように、複数がかかわりあって複雑な働きをするものもあります。
よく知られているホルモンだけ見ても、身体中幅広く働きかけていることがわかります。
成長ホルモン | 成長促進、糖や脂肪の代謝、免疫機能を保つ |
甲状腺ホルモン | 新陳代謝促進、成長促進 |
コルチゾール | たんぱく質や脂質の代謝、免疫抑制、抗炎症作用 |
アドレナリン | 心拍や血圧・血糖値上昇 |
ノルアドレナリン | 意欲や集中力・感情の調節、血管収縮 |
インスリン | 血糖値を下げる |
メラトニン | 睡眠ホルモン、抗酸化作用 |
オキシトシン | 分娩時の子宮収縮、母乳の分泌、愛情ホルモン |
エストロゲン | 女性らしい身体作り、女性生殖器の発育、子宮内膜を厚くする |
プロゲステロン | 子宮内膜を整える、乳腺の発達や妊娠の維持 |
テストステロン | 筋肉や骨格の形成、男性生殖器の発育と機能維持 |
ホルモンの分泌に異常があると?
ホルモンの分泌量は、血液の量と比較するとわずかですが、分泌に異常があると様々な影響があります。
ホルモンの分泌が少ない場合、働きかけるはずの身体の機能が正常に働かず、成長不良や機能不全になります。
逆にホルモンが過剰に分泌されると、他の臓器や機能に負担をかける場合があります。
「ちょうど」の量で分泌されなければいけないホルモン。
分泌異常の原因として考えられるのは、遺伝子の異常、ストレス、低栄養状態など。
ストレスや低栄養が原因であれば、自分が意識することで対処できることもあります。
ホルモンの材料は?
ホルモンは、アミノ酸から作られる水溶性ホルモン、コレステロールから作られる脂溶性ホルモンに分類されます。
十分なホルモンを作るためには、材料であるたんぱく質と脂質を十分摂る必要があります。
たんぱく質
たんぱく質には、植物に含まれている植物性たんぱく質と、お肉などに含まれている動物性たんぱく質の2種類あります。
どちらがより良い、ということはありません。普段の自分の食生活のなかで、足りないものをきちんと摂れるように意識しましょう。
植物性たんぱく質
納豆や豆腐などの大豆製品に多く含まれているのが有名ですね。
植物性たんぱく質のいいところは、良質な脂質(オメガ3脂肪酸など)を含んでいること。
ホルモンを作るための材料が一気に揃うと言えます。
動物性たんぱく質
お肉やお魚、卵や乳製品などに豊富です。
動物性たんぱく質のいいところは、必須アミノ酸を多く摂ることができる点です。
必須アミノ酸は体内で合成することができないため、食べ物から摂らなければならないのです。
※ 必須アミノ酸8種類:バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、スレオニン
※ 幼児期の必須アミノ酸は、ヒスチジンを加えた9種類になります。
脂質
「必須脂肪酸」という言葉を聞いたことがありますか?
実は体内で合成できず、食べ物から摂取しなければいけない脂肪酸があります。
脂肪酸の種類
脂質をつくっている脂肪酸には種類がありますが、赤字になっているのが必須脂肪酸です。
飽和脂肪酸 | ココナッツオイル、バターなど | 常温で固体のもの | |
不飽和脂肪酸 | オメガ9脂肪酸 | オリーブオイルなど | 常温で液体のもの |
オメガ6脂肪酸 | 大豆油、コーン油など | ||
オメガ3脂肪酸 | えごま油、亜麻仁油など ※DHA、EPA |
最近「身体にいい油」として、オメガ3脂肪酸がよく話題になりますが、そのオメガ3脂肪酸、そしてオメガ6脂肪酸は必須脂肪酸。
食事から摂らなければいけない脂質です。
脂肪酸の割合と量
脂質を意識する時に注意したいのが、摂取する割合と量。
オメガ6脂肪酸は、お肉やお菓子、パンなど、身の回りにある食べ物に含まれていることが多く、摂取しやすいため、どうしてもオメガ3脂肪酸より多くなってしまいます。
理想的な割合は
オメガ3脂肪酸 1:1~4 オメガ6脂肪酸
とされており、オメガ6脂肪酸の割合が高いと、アレルギーや生活習慣病の原因となることがわかってきています。
また、オメガ6脂肪酸のほうが摂取しやすいため、それに追加してオメガ3脂肪酸を摂った場合、脂質過多になる可能性があります。
厚生労働省の食事摂取基準では、
成人男性のオメガ6脂肪酸摂取基準は約10g/日、オメガ3脂肪酸は約2g。
成人女性ではオメガ6脂肪酸が約8g/日、オメガ3脂肪酸は約1.6gとなっています。
オメガ3脂肪酸は、1日に小さじ半分程度で十分なのです。(油小さじ1=4g)
どの脂質を摂るか意識しながら、摂り過ぎないように気をつけましょう。

ホルモンを正常に分泌させるために
さまざまな機能の調節をして、身体を健康な状態に保つホルモン。
「身体のメンテナンスのために、成長ホルモンいっぱい出したい」
「子宮内膜を厚くしたいから、黄体ホルモンいっぱい出したい」
そう思ってしまうこともあると思います。
残念なことに、材料をきちんと摂取していても、「このホルモンだけ分泌させたい」ということは、基本的にはできません。
また、お薬などで「〇〇ホルモンと同じ成分」を摂り入れたとしても、分泌されていない状態の根本的な改善はできません。
アミノ酸は私たちの身体を構成するたんぱく質としても使われますし、脂質もエネルギーとして代謝されます。
身体にとって、とても必要な栄養です。
そしてそれらをホルモンなどの様々な物質に変えるためには、ビタミンやミネラルなど、他の栄養との相互作用が不可欠です。
炭水化物だけの食事で簡単に済ませていると、取り返しのつかないレベルで健康を損なう可能性があります。
